不死身の漢 ~映画・その他ブログ~

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PS版バイオハザード3が革新的な作品だった理由

バイオハザード3 LAST ESCAPE(Resident Evil 3: Nemesis)のネタバレ ...

 PS版『バイオハザード3』は発売当時、それまで発売されたバイオ『1』『2』に比べて異色の空気を放っていた。

 男女二人組だった主人公は女性一人になり、「ライブセレクション」というゲーム中での選択肢の導入や、アクション性が強くなったシステムなど、これまでのバイオには無い新しい実験的な要素が追加されていたが、何よりも“追跡者“という敵の存在が非常に大きかった。

 個人的にPS版『バイオ3』がシリーズの中でも特に革新的だった要素は

 

・階段

・クイックターン

・追跡者

 

の三つだったように思う。

これだとわかりにくいので、この記事で一つ一つ挙げながら説明する。

 

 

敵が階段を上ってくる!

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初代バイオの安全地帯、吹き抜け階段の踊り場。ここにいればゾンビもハンターも攻撃できない。ここから銃で攻撃も可能。

 

 初代『1』と『2』において、プレイヤーは階段を普通に上り下りできなかった。階段を通るためには階段の前でアクションボタンを押す必要があったのである。同時にゾンビなどの敵は階段を通ることができず、プレイヤーが階段を上ってしまうと敵は階段前の見えない壁に阻まれジタバタするだけになる。
 だが『3』からは仕様が変わり、階段をキャラクターがシームレスに上り下りできるようになった。わざわざ階段の前でボタンを押すという面倒なことをしなくて済むようになり、よりストレスのない移動が可能になった…が、同時に敵が階段を上り下りできるようになってしまった! それまでのような階段ハメは不可能になり、敵が階段を通ってプレイヤーを追いかけ来ることが可能になった。今ではシームレスに階段を通れるなんてはごく普通のことだが、初代『1』『2』をプレイした世代にとって、『3』でゾンビや追跡者が階段を駆け上って追いかけてくる姿はそれまでのバイオには無い新しい恐怖、新鮮な体験だった。

 

神機能だったクイックターン

 『バイオハザード3』は緊急回避、クイックターン、爆発するオブジェクトなど、『1』『2』には無かった要素が加わった。特にキャラを180度反転させるクイックターンは『3』発売当時、最も評判が良かった要素の一つだ。

 それまでのバイオは方向転換する際にわざわざ方向キーを右か左に長押ししてキャラクターを回転させる必要があった。だが敵に襲われ逃げる時にそんな悠長なことをする暇があるはずもなく、多くのプレイヤーが敵から逃げる前にゾンビに食い殺されたりしていた(ゾンビならまだしもハンターとかリッカーが相手だったりすると殆ど絶望的)。そこで導入されたのが一瞬で真後ろを向けるというクイックターンであり、まさにバイオプレイヤー全員が待ち望んでいた機能だった。この機能のおかげで敵が目の前に迫った状態でも瞬時に後ろに方向転換して逃げることができるようになり、特に猛烈なスピードで迫ってくる追跡者戦に大いに役立った。

 この機能は本当に使い勝手が良く、その後のシリーズ(現在の『7』、『RE』シリーズに至るまで)全てにおいて残されることになった。

 なお、敵の攻撃に合わせてR1をタイミングよく押すことで特殊モーションを発動する「緊急回避」は、クセが強くなかなか使いづらい印象があり、その後のシリーズにおいて格闘攻撃など別の形で引き継がれていった。しかし『バイオ3』を極めた猛者たちによる緊急回避を使ったスーパープレイ映像がユーチューブなんかにあって、ウイルス強化したウェスカー並みに攻撃を避けまくるジルを観ることができる。

 

 

それまでのバイオの常識を壊した追跡者

Resident Evil 2 producer talks about a remake of RE3 Nemesis ...

 この『バイオハザード3』の象徴的な敵であり、シリーズの人気キャラクターでもあるネメシス。”追跡者”という別名の通り、主人公ジルをストーリの最初から最後まで追跡してくるわけだが、なぜこの敵がシリーズの中でも屈指の恐ろしさを誇っていたかというと、「部屋を移動しても扉を開けて追いかけてくる」という特徴があったからだ。

 初代『バイオハザード』、そして続編の『バイオザード2』には様々な敵クリーチャーが登場するが、それら敵との戦闘にはあるルールが存在していた。(ルールというより正確にはゲーム的な事情だが)それは「扉をくぐってエリア移動してしまえば敵は追いかけてこない」というものだった。
 広大なマップがシームレスにつながっている『バイオRE2』のような現在のゲームと違い、PS版の頃のバイオは性能の問題から限られたマップしか表示することができなかった。部屋を出るたびにロードを挟み、次の部屋を読み込んでいた。敵キャラクターは各部屋マップに固定され、プレイヤーが次の部屋に移動すれば追っては来ない。そのため、それまでのバイオにおいてはどれだけ瀕死の状態になろうが、「とにかく扉まで逃げれば勝ち」というのがプレイヤーの常識だった。 
 そのバイオの常識を破ったのが『3』であり、『3』の敵である追跡者ネメシスだった。扉を開けてエリア移動しようが部屋を超えてプレイヤーを追ってくる、ということがどれだけバイオプレイヤーの度肝を抜いたことか! 

 しかもエリアに別のクリーチャーがいようとかまわず追跡してきて、道を塞げばそれがゾンビだろうがゾンビ犬だろうが殴り倒して突き進んでくるのである。これもそれまでのバイオでは考えられない世界だった。別種のクリーチャーが一緒に登場することはそれまで無かったし、ましてクリーチャーがクリーチャーを攻撃するなどあり得なかったのだ。追跡者の登場はファンが持っていたバイオの常識を破壊するものだった。


ゾンビとネメシスを同士討ちさせる神プレイ動画。 Nemesis VS Zombies で検索すると出てきます。

 

 そもそもバイオシリーズに登場するクリーチャーはウイルスによって知能が低下しているという設定があった。だがこのネメシスという敵には高度な知能があり、扉を開けて追いかけてくるどころかロケットランチャーを使って攻撃してくるのだ。バイオのクリーチャーの攻撃なんてせいぜい「噛みつく」か「爪でひっかく」程度、一番知能の高そうな攻撃は「鉄パイプを振り回す」というだけだった時代に、「武器がロケットランチャー」なんて敵の登場がどれだけ衝撃的だったか、最近バイオをやり始めた若いプレイヤーにはわかるまい! 

 しかし、これだけバイオの常識を破壊する要素を詰め込んでいるのにも関わらず決してバイオのリアリティを壊してはいないところが、この追跡者という敵の素晴らさだ。アンブレラ支部が開発した寄生体を量産型タイラントに寄生させ、知能を向上させることで複雑な命令を理解できるようになったという設定は、前作『2』でトレンチコートを着て人間に擬態したタイラントから順当に進化したものであり、ちゃんとファンが納得できる説得力があった。
 頭にデカい手術痕があるグロテスクなデザインや、明らかに教育された様子で「スタァァズ…」と機械的に喋るところなど、追跡者という敵には強烈なインパクトがあったが、それらの強烈な要素が「生体生物兵器」という設定の説得力にも結び付いていた。こうしたクリーチャーを作るセンスはPS版初代バイオシリーズの美点であり、『4』以降のシリーズが失ってしまったものでもある。『4』『5』『6』で敵のデザインが怪獣並みに巨大化したり、ペラペラと人語を話したりと、生体兵器というよりファンタジーの怪物みたいになってしまったことは多くのバイオファンに違和感を感じさせた。それを考えると、『3』までの敵の設定やデザインはリアリティのバランスを保った良い出来のモノが多かったと思う。

 それはともかく、この“追跡者“ネメシスは圧倒的な人気となり、その後のシリーズの番外編などに頻繁に登場することになった。バイオシリーズ全体のクリーチャーの中でも圧倒的な人気を誇っているキャラクターである。

 

 

 

 とりあえず『バイオ3』の革新的だったと思う要素を3つ挙げてみた。そして今日『バイオハザードRE3』がついに発売されたが、どんな内容になっているんだろうか?

 上に挙げた要素は既にその後のシリーズで定番化しているし、最大の売りだったネメシスによる「追跡」の要素は、前回の『バイオRE2』で警察署の中で延々とプレイヤーを追い回してくるタイラントでほとんどやり切ってしまっている。『バイオR3』のハードルはかなり高くなっているが、果たしてどんな出来なのか?

 

 

 

 

 

追記:「ネメシスが扉を開けて追いかけてくる」という部分でちょっとメタ的な話になるが、PS版バイオはポリゴン数の制限があったために背景はただの絵だった(つまり動かせない)。扉も絵であるため、ネメシスが部屋を移動して追ってくるのはプレイヤーが扉の前から少し移動して扉が視界から消えた時となる。これを利用して、扉が視界にあるうちに回復やリロードをしておくなど戦闘の準備をするのが基本的なネメシス対策だった。