不死身の漢 ~映画・その他ブログ~

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『デス・ストランディング』考察①『ウォーキング・デッド』と『ハンニバル』の影響 

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小島秀夫は海外ドラマも好き

 小島秀夫は映画だけではなく、海外ドラマの大ファンであることも公言している。

『メタルギアソリッド5 ファントム・ペイン』の発売前の2014~15年ごろは、ヒデラジ(小島プロダクションの公式ブログ内で配信していたネットラジオ、コナミ傘下の小島プロダクションが消滅し、ブログも閉鎖したので現在は聴けない)の中でもハマっている海外ドラマなどをよく紹介していた。そして小島秀夫がラジオの中で激押ししていたのが『ウォーキング・デッド』『ハンニバル』である。2つとも有名な作品なので見た人も多いだろう。

 恐らくではあるが、『デス・ストランディング』の主演2名、ノーマン・リーダスマッツ・ミケルセンが起用されたのは、この2作品で主演を張っていた二人だったからではないだろうか?(ノーマンのほうはシーズン10から完全に主役になった)

 実際トレーラーの映像や、ストーリーの概要を見ると、『ウォーキング・デッド』と『ハンニバル』の影響が非常に強いと感じる。 この記事ではそこを考える。

 なお、僕はデスストは手元にあるが、まだプレイはしていない。なので未プレイの人間の根拠のない戯言だと思って読んで欲しい。

 

『ウォーキング・デッド』の影響

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 『デス・ストランディング』の世界観は、ゾンビ・アポカリプスだと思って良い。つまり突然人間がゾンビ化して、世界が崩壊し、その中で生存者たちが食料や土地を巡って殺し合いをしているというのがゾンビモノの世界観だが、『デス・ストランディング』の場合はゾンビの部分がBTという幽霊のような謎の生命体に置き代わっている。

 2002年の『28日後』以降、映画でもゲームでもゾンビブームは続いているが、その中でも最も成功を収めたのがAMCのTVドラマ『ウォーキング・デッド』だ。

 グラフィックノベルを原作とする『ウォーキング・デッド』は、2010年に放送開始されるや爆発的な人気となり、ケーブルテレビ史上最高視聴率を記録。世界中にファンを生み出し、同じくメガヒットのTVドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』と共に歴史に残るドラマシリーズになった。現在のゾンビモノは大体この『ウォーキング・デッド』の影響を受けていて、ゲーム史に残る傑作『ラスト・オブ・アス』もこのドラマの影響を受けている。

 そして、そのドラマに出てくる超人気キャラクターが、ノーマン・リーダス演じるダリルだ。

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ウォーキング・デッドのノーマン・リーダス。デスストでも髪型同じで登場。

 

 シリーズ最初の頃は無法者のチンピラ、その後シーズンを重ねていくうちに仲間と生きる意義に目覚めていく。単独行動を好む無口な男だが、戦闘能力が高く、愛用のバイクとクロスボウで仲間の窮地を毎回救ってくれる。主人公リックがダリルの実の兄貴を見捨てて逃げたことから最初は対立していたが、旅を続けるうちに次第にリックとは義兄弟のような関係になる。

 『デス・ストランディング』のサムのキャラクターはどう見てもダリルだ。孤独を好み、バイクに乗り、ゾンビ(BT)だらけの世界を駆け抜ける・・・てか、ダリルやん。(髪型も)。

  だがそれ以上に『ウォーキング・デッド』と『デス・ストランディング』には共通点がある。それは「アメリカ再建を目指す物語」であるという点だ。

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 『ウォーキング・デッド』は終末を舞台にした単なるサバイバル物というだけではない。リックたちの安住の地を見つけるための旅が、アメリカの歴史のメタファーとしても描かれている。

  日々、生存者たちのグループが衝突し、時に大きな戦争にもなる。だがやがて、生き残るためには個別に生き残り、争うことではなく、団結が必要であると主人公たちは気づき始める。そしてそれは無法者が闊歩した西部開拓時代、同胞同士よる血みどろの内戦を繰り広げた南北戦争を経て、アメリカが統合に向かっていった歴史の繰り返しだ。『ウォーキング・デッド』はシーズン9で、生存者のグループ同士で“憲章”を作り、崩壊した世界に新しいルールを作ろうとする。それはまさにアメリカ合衆国憲法の創設なのだ。

 人々が分断されたままでは、やがて世界は「死」に向かい、「死」で全ての人間が繋がることになる。この世界を歩き回るウォーカー(ゾンビ)の群れは、彼らの目前にある「死」の象徴なのだ。

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ダリルと言ったら、やはりバイク。ノーマン・リーダスはバイクを紹介する旅番組も持っているほどのバイク好き。デスストにもそのネタが・・・

 

 そして「デス・ストランディング」も、BTによって崩壊したアメリカを、主人公サムが旅をすることによって再び再建しようとする物語だ。アメリカを東から西へ横断するというのも、西部開拓時代の繰り返しである。『ウォーキング・デッド』をハードSFの世界に置き換えたのが『デス・ストランディング』と言って良いかもしれない。

 

 

『ハンニバル』の影響

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 そしてもう一つ、小島監督がラジオで激押ししていたドラマがマッツ・ミケルセン主演の『ハンニバル』だ。

 誰もが知ってるレクター・シリーズのTVドラマ版である『ハンニバル』は徹底的な残虐表現と、狂気に満ちたストーリー、そしてレクター演じるマッツ・ミケルセンの上品さと美学に溢れた独特の食人鬼像によって、世界中で高い評価を得た。

  公開されたデスストのPVの中に出てきたマッツを見た時に、僕は「え?レクター?」とやはり考えてしまった。

 ダリル=サムほどあからさまではないので、もうこれは個人的な感じ方かもしれないが、マッツ・ミケルセン演じるクリフのサイコパス的な雰囲気はどうしてもドラマ版レクター博士を思い起こさせる。

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 だが、『デス・ストランディング』はテーマにおいても『ハンニバル』とよく似ている。なぜなら『ハンニバル』のテーマもまた「人との繋がり」だからだ

 『ハンニバル』のシリーズ全体のドラマにおいて、もっとも重要なのは主人公グレアムと、殺人鬼レクターの二人の間に生まれる奇妙な友情だ。

 犯人の思考に入り込めるほどの高い共感能力ゆえに他人とのコミュニケーションを取ることができない捜査官グレアムと、食人鬼ゆえに自分を理解できる本当の友を手に入れることができないレクター。二人はドラマ中ずっと心の繋がれる相手を求めている。そしてドラマ中にでてくる異常犯罪者たちも同じ苦しみを抱えている。人間を残忍に殺させるほどの狂気は、人と繋がりたい、繋がれないという愛憎が根本にある。 このテーマが最も明らかになるのがシーズン1の第2話「Amuse-Bouche (アミューズ・ブーシュ)」だ。

 このエピソードには、さらった人間を栄養分にしてキノコを栽培している殺人鬼が登場する(殺された人間は体中からキノコが生えた無残な死体になっている)。聞いただけで気持ち悪くなる殺人だが、この動機がまた凄い。物凄くザックリ言うと、犯人は被害者を地面に埋めて栽培し、真菌のレベルにまで退化させることで、細胞レベルで被害者と繋がろうとしていたのだ。異常なまでの孤独感とコミュニケーションに対する欲求がそうさせているのだが、それはグレアムとレクターの写し鏡でもある。

 犯人はグレアムに対して「君だって人と繋がりたいはずだ!」と主人公に絶叫するが、それが予言となって、後のエピソードでグレアムとレクターは互いに心の繋がりを求め、特にレクターはグレアムに強く依存するようになっていく。この世界において誰かと繋がりを持てるの唯一の存在だからだ。

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 「繋がり」又は「繋がる」とは英語で「Connection(コネクション)」「Connect(コネクト)」であるが、このエピソードの中でこのコネクションという言葉が何度も使われ、物語のテーマとして強調される。そこで思い出したいのはやはり『デス・ストランディング』である。予告編の時点でそうだったが、この『デス・ストランディング』でも物語中に何度も「繋がり」、つまり「コネクション」「コネクト」という言葉が使われる。(ところで小島秀夫さんは、他の作品でも、劇中で物語のキーワードを何度も台詞に混ぜて言わせるのが好きだ)

 デスストの主人公サムは人との繋がりを絶ち切り孤独に暮らしているが、やはりどこかで心の繋がりを求めている。そんな彼がマッツ・ミケルセン演じるクリフと出会うというのは、『ハンニバル』のグレアムを『ウォーキングデッド』のダリルに置き換えたようなものである。

デスストとはダリルがレクターと出会う物語、そう考えるとなんだか面白い。

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マッツ「人をつなげることがコジマ 犯人の狙いかも」   デススト以降にこのエピソードを見ると興味深い。

 

 もちろん小島秀夫がこの『ハンニバル』と、その第2話からデスストを着想したと言いたいわけではない、『ウォーキング・デッド』についても同じである。だが物語を作る上で何かしらの影響を与えたんじゃないかと考えると面白い。

 これからデスストをプレイする、またはプレイした人で、この二つのドラマを見たことが無い人は是非見てみてほしい。おそらくゲームの印象がまた違って見えるんじゃないかと思う。

 

 

 

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