不死身の漢 ~映画・その他ブログ~

ブログ復活しました。主に映画・アニメ・ゲームの雑記、レビューをしていくつもりです。

『コール・オブ・デューティ:モダンウォーフェア』が参考にした「複雑な現代戦」の映画


Official Call of Duty®: Modern Warfare® – ストーリートレーラー [JP]

 

 10月25日にCODシリーズ最新作『コール・オブ・デューティ:モダンウォーフェア』(以下『MW』)が発売された。現実の世界情勢を反映したリアルなキャンペーン(ストーリー)モードという触れ込みだが、これまでのCODシリーズの要素を引き続き取り入れた作品になっている。これまでのCODの要素とは、即ち「映画の再現」である。

 CODシリーズは初期の頃から大ヒットした戦争映画、アクション映画の印象的なシーンをプレイヤー自身が体験できるゲームプレイを目指してきた。この記事では今回の『COD:MW』が再現しようとした2つの映画と、ゲーム中では名称や国名などがボカされているが、ストーリの背景となっているシリア内戦について描いたドキュメンタリーを紹介する。

 

 『ゼロ・ダーク・サーティ』

2012年 アメリカ映画

「ゼロダークサーティ」の画像検索結果

  2011年5月2日にパキスタンで、米軍特殊部隊がアルカイダの隠れ家を強襲、リーダーであるオサマ・ビン・ラディンを殺害した。そこに至るまでの経緯を、キャサリン・ビグロー監督が圧倒的なリアリティで描く実話。

 今回『MW』のキャンペーンモードの中で、映像的に最も目を引くのが暗視ゴーグルを使用した夜戦のシーンである。これまでのCODでも暗視ゴーグルを用いたゲームプレイは存在していたが、今回は実際の特殊部隊員などからアドバイスを受けることで、よりリアルな映像を作っている。 そして、これらのシーンは『ゼロ・ダーク・サーティ』の終盤の見せ場である、ビン・ラディンのアジトを強襲するシーンが元になっている。

 

「ゼロダークサーティ」の画像検索結果関連画像

 

 暗闇の中、暗視ゴーグルを付けた隊員が室内を捜索しながら、アルカイダのメンバーを一人一人殺害していくシーンは、作戦開始から終了までをリアルタイムで描き、過剰な演出は一切なく、ドキュメンタリーのようなリアルな映像になっている。D DOLITY FMA 戦術NVG GPNVG 18ダミー ナイトビジョン ゴーグルモデル
D DOLITY FMA 戦術NVG GPNVG 18ダミー ナイトビジョン ゴーグルモデル


 「ゼロ・ダーク・サーティ」では巨大な四眼の暗視ゴーグルを付けた特殊部隊員が、まるで光る四ツ目のように見えて異様な不気味さを醸し出す。このゴーグルはGPNVG-18と呼ばれるもので、2眼のゴーグルではせいぜい40度程度しか無かった視野角を、4眼にしたことで倍の80~90度にまで増やしている。このゴーグルはこの映画で一躍有名になり、今回紹介した『MW』など、ゲーム作品などにも登場するようになった。  

 「コールオブデューティモダンウォーフェア」の画像検索結果

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 『MW』の夜戦シーンも『ゼロ・ダーク・サーティ』にならって、屋内戦をメインにしている。特殊部隊のメンバーと共に狭い屋内に突入し、ゆっくりと廊下や階段を進みながら一部屋一部屋をクリアリングする。さらに今回の暗視ゴーグルは、使用するとサイトを覗けなくなるという仕様になっている。これは実際にゴーグルを着用すると、ゴーグルが邪魔でサイトが覗けなくなるためだ。そのため銃本体についている赤外線レーザーを使って照準を付けるのだが、『MW』ではそれを再現している。

 『ゼロ・ダーク・サーティ』のアジト強襲シーンが、他のアクション映画の同系のシーンと一線を画しているのは、このシーンが「戦闘」というよりは「処刑」にしか見えないところである。隊員は暗闇の中で、テロリストの名前を呼び、姿を現したところを次々射殺していく。射殺されたテロリストの妻が悲鳴を上げながら夫に縋り付くが、隊員は彼女も射殺する。現代の対テロ戦の現実を思い知らされる非常にショッキングなシーンだ。この映画のカタルシスの無い「戦闘」は、『MW』に大きな影響を与えている。

 

『13時間 ベンガジの秘密の兵士』

2016年 アメリカ映画

「13  Hours」の画像検索結果

 3度の飯より爆破が大好きなハリウッドの“破壊大帝”ことマイケル・ベイが制作・監督した戦争映画。2012年の9月にリビアで発生したアメリカ大使館襲撃事件の実話を映像化した作品。
 『MW』の後半で、テロ集団アル・カターラのリーダー、ウルフを拘束するも、今度はウルフを拘留した大使館がテログループに包囲されてしまうシーンがあるが、ここは完全に『13時間』が元になっている。
関連画像

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 『13時間』の中盤、テロリストに包囲されCIAのアジトに立てこもった主人公たち(民間軍事会社のオペレーター)が、屋上からライフルを構えて、通りの様子を伺う。このシーンは主人公たちの主観で描かれ、屋上から見える通りを怪しい車が通り過ぎたり、怪しい男たちがこちらを見ていたりするが、主人公達にはそれがテロリストなのか民間人なのかがわからず、しかも、いつどこから攻撃を受けるかもわからない。市街戦においては誰が民間人で誰がテロリストなのかが兵士達には見分けがつかない、という状況を、この映画は全編において強調する。
 『13時間』の混乱に満ちた戦闘シーンを、『MW』は大使館のチャプターで完全に再現している。『MW』のテロリストと民間人が入り乱れる戦闘という全体のコンセプトも、おそらくこの『13時間』が元になっている。

 

『ラッカは静かに虐殺されている』

2017年 アメリカ ドキュメンタリー

「ラッカは静かに殺されている」の画像検索結果

 2013年のシリア内戦の最中に、ISISによって占領されたシリア郊外の街ラッカ。ISISによる残虐行為を世界に伝えるために、命がけで活動するラッカの民間ジャーナリスト集団「ラッカは静かに虐殺されている」(RBSS)の姿を追ったドキュメンタリー。

 『MW』がこの作品の映像を参考にしたかはわからないが、『MW』の中で描かれる虐殺や処刑のイメージは、この作品に登場するような民間のジャーナリストたちが撮影してネットにアップロードした実際の映像、その映像を引用したシリア内戦のドキュメンタリーなどがおそらく元になっている。
 この映画を観た人の感想の大半は、現実離れした残虐行為が実際に行われていることに対する驚きと恐怖だろう。この映画にはRBSSのメンバーが撮影したISISによる公開処刑、又はISIS自身が公開した処刑の映像が次々に出てくる。ISISに逆らったという理由だけでピストルで頭を撃ち抜かれ、道ばたで磔にされ、首を切り落とされてさらし者にされる。それらの処刑映像は、ISISが雇ったプロの手で編集され、勇壮な音楽が付けられ、プロパガンダ映像として公開される。この世界には罪のない人間を無慈悲に殺して堂々と自慢できる人間集団がいるのだと認識させられる。
 RBSSのメンバーは、仲間や家族を、見せしめとして処刑されながらも、2017年に米国の支援を受けたシリア自由軍の侵攻でISISが崩壊するまで、ISISの実態を世界に発信し続けた。

 

  その他『アメリカン・スナイパー』などが『MW』の中東での狙撃ミッションなどに影響を与えていると推測できるが、ここでは割愛する。
 とにかく、これらの映画で共通するテーマは「現代の戦争において善悪の基準はハッキリしない」、「テロとの戦いでは、しばしば敵味方に限らず残虐な手法が取られる」、「対テロ戦においては敵と味方の区別が曖昧である」、ということである。(戦争なんて元々そうだった気がするが)
 『CODシリーズは映画の再現を目指してきた」と冒頭に書いたが、これら現代の複雑な対テロ戦争を描く映画を再現する以上、『MW』も複雑な情勢と不条理な戦闘を描くことは避けられないのだ。

 

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射殺したテロリストが子供の母親だった・・・

 

 

 

追記: ちなみに、米軍から支援を受けて、アサド政権とISISを相手に戦った”シリア自由軍”は、『MW』に登場するハディル率いるウルジクスタン解放軍のモデルだと思われるが、RBSSはシリア自由軍を「ISISに代わる新たな占領者」として非難している。その上、先日のニュースで、米国はシリアに侵攻するトルコの行動を黙認し、シリア北東部からの米軍撤退を発表。事実上シリア自由軍を見捨てる形となった。現在シリア自由軍は敵対していたアサド政権軍(おそらく『MW』のバルコフ率いるロシア軍のモデル)と合意し、共にトルコと闘うと発表。『MW』のキャンペーンをクリアした人からすれば信じられないことだが、ハディルとバルコフが手を組んだのである。「複雑な現代戦」とはこういうことなのか。

 

 

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