不死身の漢 ~映画・その他ブログ~

ブログ復活しました。主に映画の雑記、たまにアニメ・ゲームのレビューをしていくつもりです。

 『ドラゴンボール超 ブロリー』評論 「鳥山明の見たいモノ」と「アニメファン、スタッフが見たいモノ」は、果たして融合(フュージョン)できるのか? パート1

注)この記事にはネタバレが含まれています。鑑賞してからご覧ください! 

 

  『ドラゴンボール超 ブロリー

2018年 アニメ作品

監督 長峰達也

原作・脚本 鳥山明

製作 東映アニメーション

 

 ストーリー

 ある目的のためにドラゴンボールを集めるフリーザ一味は、辺境の惑星に長い間置き去りにされていたサイヤ人、パラガスと、その息子ブロリーの親子を発見する。
 かつてベジータ王に謀殺されかけたパラガスは、息子ブロリーを鍛え上げて復讐の時を待っていたのだ! ブロリーの巨大な戦闘力に気づいたフリーザは彼らを連れ、語空とベジータ抹殺の為に地球へと降り立つ。そして同じ頃、語空とベジータフリーザの野望を阻止するため、最後のドラゴンボールのある氷の大地に向かっていた。語空、ベジータVS ブロリーの史上最強のバトルの幕が開こうとしていた・・・

 

 

 ドラゴンボール超 ブロリー』は画面がカッコいい。

  「映画のブログを復活しました」とほざきながら、前回はゲーム、今回はアニメのコラムと、全然映画に触れていないが許してほしい。しかしドラゴンボールの映画を劇場に見に行ったのは、小学生の時以来で、なんだか久しぶりにあの頃のワクワクを思い出してしまったので、どうしても書いておきたかった。

 

 『ドラゴンボール超  ブロリー』は現代風にアップデートされた『ドラゴンボール』だった。
 どこか90年代風の匂いが残っていた前二作『神と神』『復活のF』に比べ、今回はOPのタイトルバックの演出からして非常に現代的でカッコいい。前二作では鳥山明のコメディ脚本に合わせたのか、キャラや背景の色が強めの色調でカラフルな画面作りをしていた。今回の『ブロリー』は氷の大陸の背景からキャラデザインまで、色数も色調が抑えられており、全体のカラーに統一性があるクールな絵作りをしている。青い空と白い大地で統一された背景。ブロリーのイメージカラーである緑のエネルギーが放出された世界。そこを赤と青を基調とするスーパーサイヤ人ゴッドとなった語空とベジータがハイスピードで飛び回る姿は、キャラクターを見せる構図の凝り方も含めて、とても美しくカッコいいビジュアルである。ひたすら雄たけびをあげ続けるキャラクターの線は、全体的に太めに描かれ骨太の印象がありながらも変幻自在に動くので、見ていてとても気持ちいい。
 今回の『ブロリー』はスタッフのコメントなどからも、今回の映画にかける高い志がわかる。

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「今の技術力を投入することと、画面をリッチにするというところです。絵の質感を上げるために、線に処理を入れてるんですよ。昔のセルのファックス線をちょっと意識しました。濃淡というか強弱がつきやすいような処理を入れることで、絵の質感をちょっと上げて、アニメーターの絵がそのまま動くような絵作りですね」

「大ヒット中の『ドラゴンボール超 ブロリー』に長峯達也監督が込めた思い」より

https://news.mynavi.jp/article/20181219-743464/

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監督曰く「線に処理を入れ、独特の質感にした」とのこと。アニメスタイルとかでその辺を詳しく解説して欲しい!

 

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ブロリーが雄たけびを上げる!骨太な線画が振動し、迫力のある画面に!

 

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時に線が絶妙に軽やかになり、語空のどことない可愛さも表現する。特にバトル前の体操シーンは最高!

 

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画面の色彩が派手なだけでなく、統一感もあって素晴らしいしカッコいい。おそらく『復活のフュージョン!! 語空とベジータ』以来、最高に色使いに凝っている。

 監督の長峰達也曰く、「現在の技術力を投入して、リッチな画面にする」ということだったらしい。今のアニメはデジタルによる画面処理で、画面の色調や光の表現を凝るのが主流(特に深夜アニメ)だし、手書きキャラと3DCGキャラをまぜこぜに使うのも近年の特徴だが、技術の進歩でそれらの違和感は少しづつ消えている。『ドラゴンボール超:ブロリー』はそれらの技術をフルに生かした作品となっている。
(でも正直、幼い語空の乗った宇宙ポッドが宇宙から地球まで飛んでいく場面はCG丸出しだった)
 今回一部のバトルシーンは、絵コンテでは無くCGコンテを使って製作されている。そのため後半の、語空、ベジータVSブロリーの空中戦は、過去最高に立体的なバトルシーンだ。特にブロリーの主観映像でエネルギー弾を投げ合うFPSのような空中バトルは他に見たことがないような新鮮さで、最高に興奮できるシーンだ。下にCGを担当した横尾裕次さん、牧野快さん、福長卓也さんのインタビューを張っておく。

https://dragonball.news/news/dbmfl28.html

 

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ちなみにこっちが前作『復活のF』。『ブロリー』と比べてしまうと、やはり画面や色使いにチープさがある。あとストーリーもちょっとね・・・

 鳥山明によって再解釈されたブロリー映画

 本作は劇場版第11作『ドラゴンボールZ 燃え尽きろ!! 熱戦・烈戦・超激戦』の敵キャラクターであったブロリーが再び登場するリブート作品になっている。(ただし過去の劇場版との、ストーリーの繋がりはない)
 ブロリーの性格が大きく変更されているのが最大の特徴で、「快楽によって破壊を行う強大な力を持つ破壊者にして復讐鬼」という設定から「怒りと力を制御できない根が善良な青年」となった。ブロリーを気遣い、彼を支えるサイドキャラクターとしてチライ(水樹奈々)とレモ(杉田智和)が登場し、この二人との掛け合いによって、ブロリーがより人間味のある存在として描かれる。
 そして今回は語空とベジータフュージョンした姿、ゴジータも登場する。見た人は知っているが、これは原作のキャラクターではなく、95年に公開された劇場第15作、『ドラゴンボールZ 復活のフュージョン!! 語空とベジータ』に登場したキャラである 今回の『ブロリー』公開に合わせて東映が行ったアンケートでも、近年の作品を抑えて人気NO1だったのが『復活のフュージョン!!』だ。シリアスなバトルになりがちだった劇場版シリーズの中では、めずらしく全体がコメディ調になっているのが特徴(当時は、コメディ色の強い魔人ブウ編が放送されてる最中だったので、作品の雰囲気を合わせたんだと思われる)。地獄の世界を舞台に悪役 ジャネンバとのトリッキーな戦いが最高に楽しい作品だ。鳥山明は当時、劇場シリーズの中でも、この作品はお気に入りだと答えているので、ゴジータの登場はそれも理由かもしれない。(ちなみに鳥山明が一番好きなのは劇場版ではなく、TVスペシャルの『たった一人の最終決戦』)

 「もはや力で倒すしかない極悪・凶悪な敵を、Z戦士が傷つきながらも力を合わせて倒す」というのがDB映画の王道的展開だが、鳥山明はむしろブロリーフリーザといった敵を人間味のある存在として再解釈し、彼らと語空たちの掛け合いを描く牧歌的な方向に持っていこうとしているのがわかる。なぜそうなっているのかはパート2で詳しく書いていきたい。

 

 ブロリーのキャラクターが説明不足?

 物語に関しては、前半30~40分がブロリーのキャラクターを描くドラマで、残り全ての時間をバトルに費やしている。いつものDB映画通りだが、ドラマはいつもより丁寧に描かれていて好印象。しかし惑星ベジータ消滅と、語空の父バーダックの描写が時間をとっている割には、メインのブロリーのドラマとうまく絡んでいない気もする。ブロリーのキャラクターを再解釈してじっくりと描いてくれるのは嬉しいが、ブロリーにとって父親パラガスとの関係は何だったのか?」という物語の根本的な部分、キャラクターにとって重要な部分が最後まで説明不足だったように感じる。
 ブロリーは最後にパラガスが死んだことをどう思っているのだろうか?それがわからない。最終的にブロリーを捨てられていた元の惑星に戻したことが、果たしてブロリーにとって幸せだったのかどうかもよくわからない。そのため、ラストで語空とブロリーが割と友好的に会話してるシーンには違和感がある(というか、語空たちが父を殺したと誤解してる話は解決したの?)。
 昔の映画版ブロリーは生まれながらのサイコ、破壊魔という設定であり、彼の破壊は全て快楽に基づくものだった(それがブロリーの強烈な個性にもなっていた)。しかし今回のブロリーは父親の命令によって破壊を行っているだけで、心は純粋な青年である、と解釈されている。だがそうなると、劇中で何度も描かれるブロリーの制御できない激しい暴力と怒りの根源はどこにあるのか?という疑問も湧いてくる。ブロリーを支配していた父パラガスへの抑圧された怒りか?それともサイヤ人達によって辺境の惑星に父ともども追いやられた境遇への怒りか? 
 「ブロリーは心に何の怒りもない純粋な男だが、自分の中から湧き上がる強烈なパワーに翻弄されているだけ」という風に解釈することもできるが…だとしてもわかりづらい。
 ただしスタッフインタビューなどを見てると元々、鳥山明が書いたシナリオはかなり長かったらしく、映画二本分になりそうなエピソードをかなり削ったことも語られているので、本当はもっと細かく描かれていたのかもしれない。

 

以上が『ドラゴンボール超 ブロリー』の感想と評論だ、非常に長ったらしく書いた。

 

だがしかし、今回書きたいのは実はそこではない。

 

 今回の『ブロリー』を見てて感じたのは、「鳥山明が見たいもの」と「アニメファン、アニメスタッフが見たいもの」が、少しづつ融合しているのでは。ということだった。

 

 ではその鳥山明とアニメファン、スタッフがそれぞれ見たいものとは何だろうか、それについての考察は、長くなりそうなのでパート2に書くことにする。

 

パート2はこちら↓

 

追記:今回の評を書くにあたって、ネット上にあるスタッフのインタビューを参考にしたが、特にドラゴンボール・オフィシャルサイトにあるコラムは大変おもしろかった。

コラム、DBMFL第20回から以降が『ブロリー』についての特集になっていて、スタッフインタビューが多い。以下にリンクを張る。

dragonball.news

 

 

 

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映画でのゴジータ登場回。これが鳥山明の理想のDB映画の一つか?と考えると最近の劇場版について色々考察できる。