不死身の漢 ~映画・その他ブログ~

ブログ復活しました。主に映画の雑記、たまにアニメ・ゲームのレビューをしていくつもりです。

レオン・S・ケネディの魅力について考える。バイオハザード RE:2 発売記念

 BIOHAZARD RE:2  - PS4

本日、バイオハザードRE:2が発売される。1998年に発売されたバイオハザード2のリメイクとなる。

 この記事では、その主人公レオン・S・ケネディの魅力について、ダラダラと書いていく。

 

レオンというキャラの魅力

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 レオンの魅力とは何だろうか?バイオハザード』20周年記念に出版されたBIOHAZARDぴあ (ぴあMOOK)によれば、日本・海外ともに『2』の主人公レオンが、シリーズで一番人気のキャラクターであるらしい。レオンは世界中で男女問わず人気のあるキャラクターなのだ。(ぴあMOOKの引用は間違いでした。ぴあ編集部と著名人だけを対象にしたランキングでした。ただしネットのアンケートその他などを見るとレオンが最も人気があるのは確かです)
  これは『バイオハザード』で人気の高い『2』、そして『4』の主人公だったことが、かなり影響してると思われる。『バイオ』シリーズの中でもあまり評判の良くない『6』が発売されたときに、ゲームレビューサイトWorthplayingの評価が積極的にレオン推しである。

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カプコンはクリスの出番を減らして、レオンのキャンペーンをもっと作ってほしい。父性主義的な義務感と好戦的な怒りでもって、木箱の後ろに隠れ、なんの特徴もない典型的テロリストを撃ち殺す典型的マッチョ白人男キャラクターは市場に溢れている」

https://worthplaying.com/article/2012/10/1/reviews/87095/

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 この「父性主義的で、典型的テロリストを撃ち殺すマッチョ白人男キャラ」とは、CODコールオブデューティー)シリーズを初めてとするその他FPSやTPSの主人公のことを言ってるんだと思われるが、そういうキャラと違い、レオンには個性的な魅力があるということだ。それは何だろう?他にはないレオンの魅力とは?


楽しくて、笑えて、結構こわい! 異論はいろいろあれど、傑作なのは間違いない『4』。

 

 

 レオンの魅力は、まずはユーモア。 

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と、言いつつ座ってみる。

 

  シリーズ最高傑作の一本と言われるバイオハザード4は、とにかくユーモア溢れる作品だった。
 危機の中で冗談ばかり言っているイカした主人公 レオン、可愛いお転婆ヒロイン アシュリー(ミニスカで巨乳)、欧州の農村に潜入するのになぜかチャイナドレスを着てくるお姉さんスパイ エイダ。さらに敵役として、どこか小物で間抜けな空気を漂わせる邪教集団(スペイン語なまり?の英語で仰々しく喋るのも、どことなくおかしい)など、キャラクターが強烈な個性を放っているのはもちろんだが、笑う部分に関しても事欠かない作品であり、革新的なゲーム部分と相まって、最高に楽しい作品と言われる所以である。
 ちなみにレオンの放つ名セリフ「泣けるぜ」は日本語字幕での意訳である。実際の英語音声では「Great」や「women」と喋っているが、皮肉屋のレオンが皮肉を言うときの台詞を「泣けるぜ」で統一している。そのおかげで「泣けるぜ」はレオンの幸薄さ・女運の無さ・苦労人っぷりを表す名セリフとなり、レオンのキャラ人気を後押しした。
(ちなみにダーティーハリーの名セリフと同じ)
 レオンのキャラクターや、人気は『4』によって確立されたと言っていいだろう。だがそれだけでなく、レオンというキャラクターの魅力は、シリーズを通して描かれる素朴な正義感と、彼の抱えている悲壮感にあるのではないか?

 ※ところで「最高傑作の一本」とは、何だかおかしい言葉だが、つまり最高なのは『1』なのか『4』なのか、それともリメイク『1』なのかで論争になっているから、こう言うほかない。

 

素朴な正義感と悲壮感。トラウマを引きずる男

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ムチャをするエイダを叱りつけるレオン。ここから二人の仲は深まっていく。

 『バイオハザード2』において、レオンは20代の新人警官という設定である。ラクーン市警への配属初日にアウトブレイクに巻き込まれ、生き残りをかけた戦いを強いられる。新人警官としての熱意に溢れるレオンはゲーム中で様々な人たちを救おうとする。最初に出会う女主人公クレア、負傷した先輩警官のマービン、そして脱出の途中で出会う謎の女性エイダ・・・。
 レオンの目的はただ自分が生き残ることだけでなく、目に映る人々をできるかぎり救うことである。まさにこれは「警官の仕事」であり、それをレオンは全うしようとする。だがレオンはアメリカ政府に雇われてエージェントになった後も「警官の仕事」をし続けようとするのである。
 レオンのキャラクターを表現した個人的に好きなシーンが二つある。一つは『4』での、村で拘束される場面。もう一つは『6』での序盤、大学構内を探索する場面である。
 まず『4』の場面から説明する。村で出会った青年ルイスと共に拘束されたレオン。元警官だと話すルイスは、レオンに対してこう言う。

 

「正義の味方なんて割に合わない仕事さ」

 

それに聞いたレオンは、どこか切ない顔で、自分の過去について一言だけ言う。

 

「・・・俺も元警察官なんだ、たった一日だけ」

 

 そして『6』の序盤。大学構内を探索するレオンは、救助した男から、はぐれた娘を一緒に探してほしい、と嘆願される。既に別任務を抱えているため、パートナーのヘレナは時間が無いと反対するが、レオンは「時間なら作る」と言って、その娘を探そうとする。だが娘は発見できたものの、結局救助した男も娘も二人とも死んでしまう。しかし、今度は守衛室の監視モニターでゾンビに襲われる寸前の市民を発見する。どう見ても手遅れなのに、レオンは迷わず再び救いにいこうとする。だがそこでヘレナが「もう手遅れよ」と言うと、モニターには既にゾンビに食われた市民の姿が映っている。それを見たレオンは静かに「・・・そうだな」、と呟く。

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見ず知らずの親子に協力するレオン。エージェントとしては間違ってる、だが彼の心は今も一人のお巡りさんなのだ。

 

 これらのシーンを見てると、「レオンは本当は警官でいたかったのではないか?」と感じる、少なくともそういう”心”が描かれているように見える。その後のシリーズ、CG映画においても、ラクーンシティの事件がレオンにとってはトラウマであったことが何度も強調される。もしラクーンシティの事件が無ければ、レオンは一人の警官として仕事をして、弱き市民を救うような立派な人生を送れたはずである。しかし、配属初日にラクーン事件が起きたことで全てが崩れ去ったのである。
 そしてレオンは政府のエージェントとなる。普通に考えれば、そういう仕事は市民を救うことよりも任務を達成することが最優先である。だが『バイオ6』を見てもわかるし、CG映画版のシリーズを見てもわかるように、彼は任務よりも人々を救うことを優先し、時に命令に逆らうこともある。それは彼が人々を救う「警官」であり続けたいと願う気持ちの表れであり、まさにレオンの英雄性を示すものである。だがそれは同時に、彼がラクーンシティの事件にいつまでも捕らわれ続けているトラウマの証でもあり、レオンが潜在的に持つ悲壮感の表れでもある。考えようによっては、『2』以降のシリーズ、『4』『6』そしてCG映画のシリーズは、レオンにとってラクーン事件の繰り返しと言える。
 レオンの心は、もはや存在しないラクーン市警察の巡査のまま、1998年のラクーンシティの中をずっと彷徨っているのである。 その象徴的な存在として、何度もレオンの前に現れるのがエイダだ。

 

エイダの存在

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 レオンを振り回すエイダの存在は、レオンというキャラクターの心理描写に、より魅力的な要素を与えている
 『2』において、レオンはエイダと行動を共にしながら、数少ない生存者である彼女を必死に守ろうとする。それは警官としての義務感であるが、その中で二人の間には愛が芽生える。しかし、エイダは自らがGウイルスを奪うために送り込まれたスパイであると明かしたあと、命を絶ってしまう。初めての警官の仕事として必死に救おうとし、しかも愛してしまった女性を死なせてしまったことは、まさにレオンにとってトラウマとしか言いようがない。だがらその後、実はエイダが生存していることがわかっても、レオンにとっては救えなかった事実は変わらない。しかも『4』や『6』のように、気まぐれに自分の前に現れては、気まぐれに自分を救って、再びどこかに消えたと思ったらまた現れて…を繰り返すエイダの存在は、彼のトラウマであるラクーン事件で失った愛する人の亡霊のように見えるのかもしれない。そしてエイダも青臭い正義感を持つレオンを愛し、彼の人助けになんだかんだ協力しつづける。
 このエイダとのフクザツな関係性は、レオンというキャラクターの人間描写を悲壮感のある深みのあるものにしている。彼女抜きにレオンの人気はなかったと言っていい。
 こうした心理分析的な掘り下げができる魅力は、現在のところクリスやジル、クレアといったキャラクターには無い要素であり、レオンだけが持っている強みである。

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レオンのエイダに対する気持ちは複雑だ。短い台詞の中に、彼の抱える心の傷が見え隠れする。

 

今、必要とされるヒーロー

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CG映画『バイオハザード ダムネーション
ウイルスに感染した反乱軍兵士に銃口を向ける。だがレオンは・・・

 

  最初にWorthplayingが書いた「レオンのキャンペーンをもっと作ってほしい。義務感と好戦的な怒りで典型的テロリストを撃ち殺す典型的マッチョキャラクターは市場に溢れている」というコメントを引用した。所謂ゾンビ・アポカリプスを描いた作品、または対テロの戦場を描いた作品が市場に溢れる中で、主流となっているのは生き残りを賭けた殺伐とした世界観である。例えば『COD4』の主人公プライスが、拘束し両手を縛られたテロリストを拷問したうえで躊躇なく撃ち殺す場面は象徴的なものだといえる。ゲームにもなったドラマ『ウォーキングデッド』の主人公たちは、ゾンビだらけの世界で自分達が生き延びるために、次第に命の切り捨て、拷問、大量殺人など、人道にもとるような行為を行うようになっていき、その善悪の境界を描くことがテーマにもなっている。

21世紀以降、映画やドラマにおける残酷行為の描写に風穴を開けたのはドラマ『24』シリーズである。それについては以前別の記事でも書いた。

 こういった描写の背景にあるのは、21世紀以降の実際の戦争のなかで拷問、違法な拘束と監禁、捕虜虐待、民間人への誤爆が相次いだことであり、映画やゲームもその現実を汲み取っていった。倫理学のトロッコ理論というものがあるが、近年の映画やドラマやゲームは、この問題を今も描き続けている。その成功作の一つは『ラスト・オブ・アス』だろう。
 そして、これらの残酷行為を「やむを得ない行為」として正当化するような作品もあった。それはつまり、大勢を救うために少数を殺すことができる人間こそ必要だということになる。残酷な選択を苦渋の末に行える者こそ真の英雄だとする作品は少なくない。それが男性的なマッチョイズムと結びつき、マッチョな主人公が敵を容赦なく拷問したり撃ち殺したりすることに共感が集まることもある。

 『バイオハザード』もこうした作品の流れを受け、『6』においてCODのような対テロアクション路線を作風に取り入れ、さらに流行りのゾンビ・アポカリプス的な残酷な世界観の要素も取り入れた。
 だがその中でもレオンは変わらなかった、変わらず目に映る人々を救おうとし続け、時には敵にさえ情けをかける。かつては映画や漫画を席巻していた、こういう素朴な正義感、素朴な善行は今では逆に珍しくなりつつある。
 危機が起きた時に普通に暮らす人々が望むのは、国のために残酷な拷問・殺人を平気で行える「エージェント」ではなく、または誰かを冷酷に切り捨てるような「特殊部隊員」でもない。我々が本当に望むのは、素朴な正義感を決して捨てずに我々を守るために全力を尽くしてくれる「お巡りさん」なのである。
 たった一人の他人を救うために必死に戦い、そして世界も救ってしまう女運の無い皮肉屋。

 マーベルのヒーローたち同様に、今の時代においてレオン・S・ケネディは最も必要な理想を体現する、人間臭い英雄なのだ。

 これからもカプコンは、レオンの「青臭い正義感」という魅力を大事にしていってあげてください。

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グラフィックもストーリーも新しくなった『バイオ2』で、レオンはどんな活躍を見せるのか?

 

追記:

余談だが、何となくレオンはトム・クルーズと同じような雰囲気を持っている気がする。そのためかどうかは知らないが声優も同じ森川智之。だから世界中で人気があるのかな?気のせいかな? 

BIOHAZARD RE:2 Z Version  - PS4

BIOHAZARD RE:2 Z Version - PS4

 
BIOHAZARD RE:2  - PS4

BIOHAZARD RE:2 - PS4

 
BIOHAZARDぴあ (ぴあMOOK)

BIOHAZARDぴあ (ぴあMOOK)

 

初代『バイオハザード』発売20周年を記念したムック本。

バイオハザード4 - PS4

バイオハザード4 - PS4

 

もう何度目かわからない『バイオハザード4』移植作。今でも高い人気を誇る完成度。

バイオハザード6 - PS4

バイオハザード6 - PS4

 

COD路線を狙い、「もはやホラーじゃない」と賛否両論だった『バイオハザード6』。
しかし計6人に及ぶ主人公のボリューム感はすごい。