えすぱーの映画ブログ

映画、ゲーム、アニメに関して勉強しながら雑記、評論をしていくつもりです。

映画短評『ボーン・コレクター』

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ボーン・コレクター

1999年 アメリカ映画
監督 フィリップ・ノイス(『パトリオットゲーム』『今そこにある危機』)
原作 ジェフリー・ディーヴァー
脚本 ジェレミー・アイアコーン(『ブラッド・イン・ブラッドアウト』)
撮影 ディーン・セムラー(『ダンス・ウィズ・ウルブズ
主演 デンゼル・ワシントンアンジェリーナ・ジョリー

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 ネットフリックスで配信していたので久々に視聴。

 原作はジェフリー・ディーヴァーの書いた”リンカーン・ライムシリーズ”の第一弾。これが書かれたのが97年なのでわずか2年後の映画化ということになる。

  原作は未読なのでジェフリー・ディーヴァーについても全然知らなかったのだが、調べてみると日本にもかなり厚いファン層があるらしく、文芸春秋に特設サイトまであった。ディーヴァーはこの『ボーン・コレクター』でミステリー小説に与えられるネロ・ウルフ賞を受賞している。2017年時点で11作出ているらしい。

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原作者のジェフリー・ディーヴァー

 

 ストーリーは、全身マヒになり生きる気力を失った天才化学捜査官リンカーン・ライムが、元モデルで捜査官としての才能を持つ警官アリシアと共に、謎の連続殺人を捜査していくというもの。
 映画自体は結構地味だが、監督のフィリップ・ノイスの演出とウィリアム・ホイの編集が良いのか物語はテンポよく進んでいき飽きさせない。それでいながらキャラクターたちの個性も丁寧に描いていて、そこに効果的にクローズアップが多用されるので全員が印象に残るキャラクターになっている。役者たちもそれぞれ好演。
 ただしリンカーンの推理が速すぎて見てても彼の思考についていけないことと、最後に登場する犯人が「お前誰だよ」状態なのが欠点。(マジで「誰!?」って感じだ)
 それと、物語はそれぞれ心に闇を抱えたライムとアリシアが師弟として共に事件を解決することでそれぞれ生きる気力を取り戻すというストーリーだが、安楽死を望んでいたライムが最後に生きる選択をする理由がアリシアとの恋愛というのはちょっと深みに欠ける。犯人明かしの唐突さと、物語の「軽さ」が本作を地味な作品にしている要因ではあるが、おかげで小品として見やすくなってるのも確か。

 ところどころ印象に残るカメラワークが披露される。
 序盤の、夢から覚めるライムから一気に引いていくカメラ、警官が突然撃ち殺される街中からライムの部屋へ一気に移動するカメラ(ここはCG)、看護師セルマが嫌味な上司チェイニーを家から追い返す場面の妙に印象に残る主観視点(怖い顔が特徴のマイケル・ルーカ―が良い感じの演技をしているからかもしれない)。そして全体に斜めの構図が多用されている。
 撮影監督が誰かと思って見てみると、アカデミー賞も取っているディーン・セムラーだった。

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ベッドに寝たきりのライムの主観を意識してか、斜めの構図がよく出てくる。

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妙に印象に残る主観ショット。嫌な上司演じるマイケル・ルーカ―が役にハマっているせいかも。

 

アンジェリーナ・ジョリーはこの作品が劇場映画初主演で、きっかけになったのは98年のHBO制作のテレビ映画『ジーナ・悲劇のスーパーモデル』での好演を監督のフィリップ・ノイスが見たからだそうだ。
 監督のノイスとジョリーはその後2010年、女スパイ映画『ソルト』で再び一緒に仕事をしている。

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 エンディングで流れるピーター・ガブリエルの『ドント・ギブアップ』も主人公ライムとアリシアの心情とマッチしていて良い感じ。

 全体として手堅くまとまっていて飽きさせない映画なので、時間があったら見てみるといいだろう、地味だけど。

 ところでおよそ8か月ぶりにブログを更新するのだが、まさか書くのが『ボーン・コレクター』なんて地味な映画になるとは思わなかった。どんな映画が再び書く気力を起こさせてくれるかわからない、やっぱり映画というのは不思議。

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ボーン・コレクター〈上〉 (文春文庫)

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ボーン・コレクター〈下〉 (文春文庫)

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