キモイダメ男のブログ

映画、ゲーム、アニメに関して勉強しながら雑記、評論をしていくつもりです。

『この世界の片隅に』 ドラマ版(2011年)感想

 

終戦記念スペシャルドラマ この世界の片隅に [DVD]

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 日本中で絶賛された『この世界の片隅に』ですが、実は2011年に一回実写ドラマとして制作されています。日本テレビ終戦記念日の特別番組として制作。主演は北川景子。監督は『カイジ』や『ガッチャマン』を手掛けた佐藤東弥。脚本は『NANA』『ICHI』の浅野妙子(ここで既に不安に感じる)基本的には原作のストーリーを忠実に映像化していて、物語に大きな変更点はありません。

 ネット上での評判があまりよくないですが、それもそのはずで余りにも情緒過多なシーンが多すぎる印象。とにかくやたらすずさんを大声で泣かしまくるので途中でウンザリしてきます。原作漫画もアニメ映画版も抑えた演出が良質な部分なのですが、この作品ではひたすら感情が爆発しています。

 佐藤東弥さんの演出も浅野妙子さんの脚本もとにかく大味。悲しい場面になると大音量の音楽を流し、すずさんが大声で泣き、しかもなぜ泣いているのか全て台詞で説明します。演出も脚本も「泣かせよう」という意図が透けすぎていて、それが2時間延々と続くのは正直苦痛でしかありません。

 原作における魅力だった複雑な人間関係や台詞に頼らない心理描写、曖昧に描写されている部分をわかりやすくしたいという意図は理解できますが、安易に台詞で説明しすぎで逆に興ざめします。
(例えば原作冒頭のすずと周作が子供時代に出会うシーンは夢とも現実ともとれるシーンだったが、ドラマ版ではわかりやすく変更されている)
 TVドラマの場合、映画と違ってわかりやすくしなくてはならないというのはわかるし、所謂「感動」をメインしたかったのもわかります。が、登場人物達の複雑な心境を意図的に曖昧にして読者の想像を刺激しながら、暗さや湿っぽさを抑えて暖かな笑いで描かれているのが原作の魅力だったのに、それをベタなメロドラマになってしまったという印象。

 しかし原作やアニメ映画版が難しくてよく分からなかったという人には本作は意外とおすすめです。リンさんと周作の関係などアニメ映画版などでは曖昧に描かれた部分が分かりやすく描写されているので、『この世界』入門としてアニメとセットで見ると面白いと思います。アニメ映画では大胆にオミットされていたリンさんの描写が充実しているのでリンさんが好きな人にもおすすめです。