キモイダメ男のブログ

映画、ゲーム、アニメに関して勉強しながら雑記、評論をしていくつもりです。

映画短評『INFINI/インフィニ』


INFINI/インフィニ

2015年 オーストラリア映画
原案・脚本・監督:シェーン・アベス
          (『シャドウ・ワールド』『ジ・オシリス・チャイルド』)  
撮影:カール・ロバートソン(『Better Watch Out 』『ジ・オシリス・チャイルド』)
音楽:ブライアン・カシャ
        (『シャドウ・ワールド』『7500』『ジ・オシリス・チャイルド』)
出演:ダニエル・マクファーソン、ルーク・ヘムズワース

 

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・ストーリー
 23世紀の未来、遠く離れた開拓星で緊急事態が発生する。惑星に取り残された軍人ウィット・カーマイケルを救いに救助隊が向かうとそこには大量の死体が。

救助隊はウィットの救助に成功するが、彼の口から語られたのは、この惑星全体が人間を狂暴化させる謎の病原菌で汚染されたという衝撃の事実だった・・・。

 

・解説

 2015年のオーストラリア産SF映画、ただしそのオーストラリア本国では海賊版が出回る恐れから劇場公開をしていない。以下の記事によれば、オーストラリアでは映画の海賊行為が横行していて、映画館での公開中に海賊版が流れるくらいなら、直接ビデオ化とVOD配信を行うほうが良いと判断したようだ。

https://myaccount.news.com.au/theaustralian/subscribe?pkgDef=TA_SDO_P0415A_W04&directSubscribe=true&b=true&sourceCode=TAWEB_WRE170_a_GGL&mode=premium&dest=http://www.theaustralian.com.au/business/media/film-piracy-plague-heads-off-local-release-of-infini/news-story/757a6f4cb5499e2e3bb73ac517d23064&memtype=anonymous

 

   結局この映画はアメリカでの限定公開と、映画祭での上映という形になった。日本では「未体験ゾーンの映画たち2016」で公開された。

原案・脚本・監督はシェーン・アベス。オーストラリア出身、TAFE(職業訓練専門校)の映画部卒業からTV、映画へとキャリアを進む。
 低予算で制作した宗教マトリックス映画『シャドウ・ワールド』で注目を浴びる、その後立て続けにSF映画を発表。現在まで作る作品のほとんどで原案・脚本・監督をしている。新作はこれまたSF映画『ジ・オシリス・チャイルド(2016)。


 あの傑作SF『ミッション・8・ミニッツ』にも何らかの形で関わっていたらしいが、僕の英語力が低くて、海外のサイトを読んでもわからない
 いつも低予算でSF映画を制作、だがそう感じさせないしっかりした画面作りを行う。撮影・音楽・編集は毎回同じスタッフと組む。

なかなか興味深い、面白い。

 

・平凡SFだが長所アリ。物語構成はダメ

 映画自体は特に新しいところのない平均的なB級SF映画。『エイリアン』『惑星ソラリス』『惑星からの物体X』といった作品へのオマージュが散りばめられているところもふくめて非常に平均的で「よくあるSF」という感覚が強い。
 映像はリドリースコットのSF映画を強く意識しているように思える。特に全体のトーンは『エイリアン』と『プロメテウス』の影響の濃さを感じさせる。JJ・エイブラムスの『スタートレック』的なレンズフレアもあり。
5億円の低予算(wikiの情報が正しいなら)ながら映像やセットはかなり頑張っている。
宇宙船内を異界に見せようとする美術の作り方や、それを強調しようとする撮影は伝統的なSFホラーを踏襲していて好感が持てる。

 しかし全体的に物語や設定が分かりづらい印象。これは用語が難しいとか、設定が複雑だとかの問題ではなく、物語の構成に難がある。
 混乱のそもそもの要因は主役。本来、この手の映画では救助隊が主役であるのが普通だ。救助隊の視点から宇宙船や遺跡を探索し、救助人から真相に関わる情報を得る。救助隊の視点に集中できるので、お客さんは物語に自然に入り込める。『エイリアン』『惑星ソラリス』『イベント・ホライゾン』『インターステラー』、みんな救助する側が主役で、彼らの視点で物語は作られている。
 だがこの『インフィニ』では救助される側の軍人が主役になっている。そのため彼が惑星に遭難するところから話が始まるのだが、遭難した直後に視点が救助隊へと移ってしまう。その後、救助隊が惑星に着いて主人公を発見した直後に再び視点が主人公に戻るのだが、正直、この視点の度重なる変更はあまり意味がないうえ、物語を追ううえで非常に集中力を削ぐ。
 主人公は地球に身重の妻を残しており、その葛藤がドラマの中心に置かれているが、別に彼が主役でなくとも特に問題があるとは思えず。救助隊のリーダーに同じ役目を負わせて主役にすれば、序盤の慌ただしい視点変更(主人公→救助隊→主人公)もすることなく物語が整理できたかも、と思えた。
 ただこれは編集でシーンの順番を入れ替えればどうにかなったようにも思える。

 ただラストは少し驚いた。普通のSFホラーにはない、なかなか新鮮なクライマックスになっている。つまりこの映画は「命あるものは生命の重さについて学べる」というテーマだったのである。主人公の妻や救助隊員が身重という設定は最初は何の意味もない設定かと思ったらテーマ的な伏線だったようだ。
 正直言ってちょっと感動した。映画全体は「よくあるSF」だが、このラストのおかげで結構印象に残る映画になっている。
 この辺りの優しいクライマックスは非ハリウッド映画ならではの新鮮さ。おそらくハリウッド映画であったなら構成のいびつさ等やたらアクの強い部分はキチンと整理され、お客に見やすい話になっていただろう。しかし同時にこの奇抜なラストも無くなっていたかもしれない。

ただしエピローグがダラダラしているのでせっかくの余韻はかなり台無し。この辺も編集でバッサリ切ったほうが良かった。

 

・ パッケージのコピーについて。

INFINI/インフィニ (字幕版)

 日本版のパッケージには「『マトリックス』のスタッフが放つ!」みたいなことが書かれているが、どうせ誇大広告だと分かっていたがIMDBで調べてみた。
しかしどこを見てもマトリックスに関わったスタッフなどどこにもいない・・・かと思ったら一人だけいた。
 どうやら特殊効果を担当したフィリップ・ヤングさんが『マトリックス』の2作目・三作目に関わっていたようだ。

http://www.imdb.com/name/nm2548367/?ref_=ttfc_fc_cr51

 まあ、B級Z級・誰も知らない外国映画のパッケージには「なんとあの大作映画のスタッフと同じです!」系のコピーがよくついているが、実際にはCGを制作してる会社が単に同じなだけだったり、酷い時にはスタッフが一人だけ同じという場合もある。
別に嘘はついて無いわけだが嘘ジャケと同じくらい悪質感を感じる。でもなんか面白いからいいや、そのうち映画秘宝か何かでこの手のハッタリコピー特集をやってほしい。

 

 

映画短評『ボーン・コレクター』

 ボーン・コレクター [Blu-ray]

 

ボーン・コレクター

1999年 アメリカ映画
監督 フィリップ・ノイス(『パトリオットゲーム』『今そこにある危機』)
原作 ジェフリー・ディーヴァー
脚本 ジェレミー・アイアコーン(『ブラッド・イン・ブラッドアウト』)
撮影 ディーン・セムラー(『ダンス・ウィズ・ウルブズ
主演 デンゼル・ワシントンアンジェリーナ・ジョリー

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 ネットフリックスで配信していたので久々に視聴。

 原作はジェフリー・ディーヴァーの書いた”リンカーン・ライムシリーズ”の第一弾。これが書かれたのが97年なのでわずか2年後の映画化ということになる。

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新しいブログを作った理由

わざわざURLを変えて新しいブログを作ったのは、ハッキリ言って前回のブログで書いた内容が恥ずかしくなってきたからです。

ああ、俺こんなに文才なかったんだなぁ、としばらく落ち込んでました。

おまけに某有名人にツイッター上で粗相をしてしまい、しばらく何も書く気が起きずにブログもまったく更新しませんでした。

ですがなんとか最近やる気を取り戻してきたので、心機一転してもう一度一からやり直すことにしました。

 

なのでよろしくお願いします。

『この世界の片隅に』 ドラマ版(2011年)感想

 

終戦記念スペシャルドラマ この世界の片隅に [DVD]

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 日本中で絶賛された『この世界の片隅に』ですが、実は2011年に一回実写ドラマとして制作されています。日本テレビ終戦記念日の特別番組として制作。主演は北川景子。監督は『カイジ』や『ガッチャマン』を手掛けた佐藤東弥。脚本は『NANA』『ICHI』の浅野妙子(ここで既に不安に感じる)基本的には原作のストーリーを忠実に映像化していて、物語に大きな変更点はありません。

 ネット上での評判があまりよくないですが、それもそのはずで余りにも情緒過多なシーンが多すぎる印象。とにかくやたらすずさんを大声で泣かしまくるので途中でウンザリしてきます。原作漫画もアニメ映画版も抑えた演出が良質な部分なのですが、この作品ではひたすら感情が爆発しています。

 佐藤東弥さんの演出も浅野妙子さんの脚本もとにかく大味。悲しい場面になると大音量の音楽を流し、すずさんが大声で泣き、しかもなぜ泣いているのか全て台詞で説明します。演出も脚本も「泣かせよう」という意図が透けすぎていて、それが2時間延々と続くのは正直苦痛でしかありません。

 原作における魅力だった複雑な人間関係や台詞に頼らない心理描写、曖昧に描写されている部分をわかりやすくしたいという意図は理解できますが、安易に台詞で説明しすぎで逆に興ざめします。
(例えば原作冒頭のすずと周作が子供時代に出会うシーンは夢とも現実ともとれるシーンだったが、ドラマ版ではわかりやすく変更されている)
 TVドラマの場合、映画と違ってわかりやすくしなくてはならないというのはわかるし、所謂「感動」をメインしたかったのもわかります。が、登場人物達の複雑な心境を意図的に曖昧にして読者の想像を刺激しながら、暗さや湿っぽさを抑えて暖かな笑いで描かれているのが原作の魅力だったのに、それをベタなメロドラマになってしまったという印象。

 しかし原作やアニメ映画版が難しくてよく分からなかったという人には本作は意外とおすすめです。リンさんと周作の関係などアニメ映画版などでは曖昧に描かれた部分が分かりやすく描写されているので、『この世界』入門としてアニメとセットで見ると面白いと思います。アニメ映画では大胆にオミットされていたリンさんの描写が充実しているのでリンさんが好きな人にもおすすめです。