『イベント・ホライゾン』の恐ろしさ① 隠れた名作になった『イベント・ホライゾン』を解説。
○『イベント・ホライゾン』というB級映画
2014年クリストファー・ノーランの『インターステラー』が公開され、その圧倒的映像で高い評価を受けました。
ところでこの映画、劇中乗組員の一人がワープを説明するシーンで映画ファンの一部は「おっ?」と思いました。
このシーンどこかで見た・・・どこかで見た・・・。
そうだ!
続きを読む全員くせもの? 「エイリアン」シリーズの監督達を解説。その①
毎回変わる『エイリアン』の作風
前回の記事で『エイリアン』シリーズの歴史を簡単に紹介しました。
多少悪口っぽいことを書きましたが、実は僕は『エイリアン』シリーズは全部好きです。
DVDで新しいバージョンが出るたびに全シリーズ買うくらいに、1、2,3,4全部お気に入りです。あの『AVP』も面白いかは置いといて、嫌いじゃありません。
なぜなら『エイリアン』シリーズには一つたりとも同じ「作風」の作品が無いからです。そのため、毎回違った新鮮な面白さがあります。
普通はシリーズ映画では作品のカラーを統一しています。『ターミネーター』「スターウォーズ』「インディ・ジョーンズ」などです。
統一した作風にするのは当然お客さんを困惑させないためです。シリーズの『2』『3』を見に来るお客さんの大多数は同じ映画、同じ興奮を期待していますのでアクション映画を見に来たらホラーだったというのはアリエナイわけです。 ====
『バットマン』『スパイダーマン』などのように一人の監督が3部作を撮った後、再びリブートして、新三部作で作風をガラッと変える、そういうシリーズもあります。
その場合、前の三部作とはストーリーがリセットされ、新しく物語を始めるのがほとんどです。
しかし『エイリアン』シリーズは違います。一作出るたびに作品の空気がガラッと変わります。
『エイリアン』シリーズのストーリーは基本的に全て繋がっています。同一時間軸で主人公はシリーズ通してシガニー・ウィーバー演じるリプリーです。
それなのにまるで『エイリアン』シリーズはそれぞれの作品が別物のように世界観が違うのです。その理由はそれぞれの作品を担当している監督達の個性にあります。
ここでは『エイリアン』シリーズの監督達がどんな人たちなのか紹介していきたいと思います。
個性豊かな監督達と作風の移り変わりを見ることが『エイリアン』シリーズの一つの面白さなのです
『エイリアン』シリーズの監督一覧
エイリアンシリーズ6本(AVP含む)の監督達。
リドリー・スコット。
(『エイリアン』)
イギリス出身。
美術大学でグラフィックデザインを専攻し、CMディレクターなどを経て1977年の長編映画『デュエリスト/決闘者』を監督。カンヌ国際映画祭新人監督賞受賞など世界中で評価される。その功績で79年『エイリアン』を監督。卓越した映像で一世を風靡する。その後作った『ブレードランナー』は公開時には興行的に振るわなかったものの、ストーリー、映像ともに評価され、傑作サイバーバンク作品としてカルト的な人気を得た。その後も映像派として多数の映画を撮りづつけており、紹介する監督の中では一番多作の人。
代表作
『ブレード・ランナー』(1982)
『ブラックレイン』(1989)
『テルマ&ルイーズ』(1991)
『ハンニバル』(2001)
『ブラックホークダウン』(2001)
『プロメテウス』(2013)
ジェームズ・キャメロン
(『エイリアン2』)
カナダ出身
子供の頃から16ミリで手作りのSF映画を撮り始める。24歳でロジャー・コーマンの元で特撮スタッフの仕事を始める。1981年『殺人魚フライングキラー』で監督デビュー。1984年の『ターミネーター』が大ヒットし、『エイリアン2』で一躍ヒットメーカーに。97年監督した『タイタニック』が歴史的ヒットを飛ばし、アカデミー監督賞ほか13部門受賞。その後2009年に監督した『アバター』で『タイタニック』の興行記録を更新する。彼の映画は世界の映画興行記録の1位と2位を独占している。
代表作
『ターミネーター』(1986)
『アビス』(1989)
『ターミネーター2』(1992)
『タイタニック』(1997)
『アバター』(2009)
デヴィッド・フィンチャー
(『エイリアン3』)
アメリカ出身
10代の頃からILMのアニメーターとして特撮に関わり、その後ビデオ制作会社、プロパガンダ・フィルムを創設。マドンナやローリングストーンズのミュージックビデオや、CMを多数手掛け、高い評価を得る。そのことがきっかけで『エイリアン3』の監督に抜擢され、その後は『セブン』『ファイトクラブ』といったダークな作風の作品を連発し、一般的にもカルト的にも人気を誇る監督となった。アカデミー監督賞にも二度ノミネートされている。
代表作
『セブン』(1995)
『ファイトクラブ』(1999)
『ソーシャル・ネットワーク』(2010)
『ゴーン・ガール』(2014)
ジャン・ピエール・ジュネ
(『エイリアン4』)
フランス出身。
アニメーションに造詣が深く、フランスのスタジオでアニメ技術を学ぶ。その後アニメ映画祭で漫画i家マイク・キャロと出会い、二人で人形アニメの短編を制作する。
その後も二人で共同監督を組み、出演もした実写の短編『最後の突風の砦』を制作し、フランス国内でカルトヒットを果たす。そして91年に発表したブラックユーモア映画『デリカテッセン』が大ヒットし、セザール賞の新人監督賞、脚本賞を受賞。95年には『ロストチルドレン』、そして97年にその才能が注目されて、ハリウッドに招かれ、『エイリアン4』を監督する。この作品からは単独で監督を務めるようになる。
そして2001年「アメリ」を監督。フランスでは社会現象になるほど大ヒットし、日本でも大ヒット。世界中でこの作品は高く評価され、ジュネは監督としての地位を確固たるものにした。
代表作
『デリカテッセン』(1991)
『ロストチルドレン』(1995)
『アメリ』(2001)
『天才スピヴェット』(2014)
ポール・W・アンダーソン
(『エイリアンVSプレデター』)
イギリス出身
名門ウォーリック大学で映画制作を学び、その後映画製作会社を設立。ジュード・ロウを主演に迎えた『ショッピング』で初監督を務める。過激な映像表現で問題作となるが、ニューライン社に注目され、人気ゲームの映画化『モータル・コンバット』の監督を任される。低予算ながらも全米で大ヒットし、その手腕が買われて『イベント・ホライゾン』『ソルジャー』等のSF映画の監督を務める。
2002年にカプコンの大人気ゲームの映画化『バイオハザード』を監督し、これが当時のゲーム映画史上最大のヒットを果たす。映画『バイオハザード』シリーズは長寿シリーズとなり2015年現在5作が作られ、すべてにアンダーソンが監督、もしくは制作に関わっている。2004年には長年のファンでもあったシリーズのクロスオーバー、『エイリアンVSプレデター』を監督する。
3D映画『バイオハザードⅣ』以降は積極的に3D映画を作っていくことを発表している。
映画オタク系監督。
代表作
『モータル・コンバット』(1995)
『イベント・ホライゾン』(1997)
『バイオハザード』シリーズ(2002~現在)(2,3作目は別監督)
ストラウス兄弟(兄、グレッグ・ストラウス(写真左)、弟、コリン・ストラウス(写真右)
(『エイリアンVSプレデター2』)
アメリカ出身
10代の頃から映画の視覚効果に興味を持ち、90年代には兄弟でロサンゼルスに移り、TVシリーズ『X-ファイル』などの特殊効果の仕事を務める。その後『ボルケーノ』『タイタニック』といった大作映画や、CM、ミュージックビデオのVFXを手掛けてキャリアを伸ばし、2002年には自身のVFX制作会社ハイドリックスを設立する。
特撮に関わってきた経歴を評価されたのか、2007年『AVP2』を監督。
2010年には『スカイライン』を制作、監督する。予算わずか8億円。企画から公開まで1年たらずということで話題になった。
監督というよりは視覚効果畑の人たち。
代表作
『スカイライン』(2010)
以上がエイリアンの監督達ですが、特筆すべきはスコット、キャメロン、フィンチャーといった現在では巨匠として誰でも知ってる監督が、それぞれ若手の頃に『エイリアン』を監督して出世したという点でしょう。
一人一人の作風については長くなりそうなので、次回から一人づつ細かく見ていくことにしましょう。
では。
その②はこちら⇓
kimoidameo-brog.hatenadiary.jp
⇩